シティタワー大井町の販売価格は、23.6m2~84.17m2の面積に対して、3624万6000円~1億3115万4000円です。
この販売価格は高いのでしょうか?それとも安いのでしょうか?
路線価を基準としたときの価格設定の妥当性検証、建設エリアの中古マンション市場相場と販売価格の比較検証の2つの検証を実施しております。
マンション概要
- 名称
- シティタワー大井町
- 所在地
- 東京都品川区大井1丁目5000-1(地番)
- 交通
- (1)JR京浜東北線・東京臨海高速鉄道りんかい線「大井町」駅より徒歩4分(2)東急大井町線「大井町」駅より徒歩6分(3)東急大井町線「下神明」駅から徒歩7分(4)JR湘南新宿ライン(宇都宮線・横須賀線)「西大井」駅から徒歩12分
- 総戸数
- 635戸(うち非分譲住戸142戸、他に事務所4区画、店舗6区画、保育施設)
- 構造・階建て
- RC29階地下1階建一部鉄骨
- 間取り
- 1R~3LDK
- 専有面積
- 23.6m2~84.17m2
- 価格
- 3624万6000円~1億3115万4000円
- 管理費
- 7870円~2万5510円/月
- 管理準備金
- –
- 修繕積立金
- 2330円~8370円/月
- 駐車場
- 敷地内186台(料金2万9000円~3万5000円/月、非分譲住戸分含む。平置2台、タワーパーキング184台※身障者用2台、来客用5台含む、他に商業用2台、全体共有3台)
- 駐輪場
- 759台収容(料金200円~500円/月)※非分譲住戸分含む。その他店舗用あり
- バイク置場
- 35台収容(料金5000円~7000円/月)※非分譲住戸含む、来客用4台含む
- 用途地域
- 近隣商業地域
- 完成時期
- 2019年7月11日完成済
- 入居時期
- 2020年5月下旬予定
※2019年10月時点の情報を掲載しております
※出典:公式ホームページ、SUUMO
路線価を基準にした価格検証
路線価とは不動産の価値や売却査定時の参考になる公的価格の一つです。
国税庁によって毎年7月1日に公表されている指標で、国が土地の値段を市場変動を加味しながら毎年更新している指標とお考えください。
それでは、シティタワー大井町の建設地の路線価を確認してみましょう。
路線価の確認
シティタワー大井町の所在地は物件概要に記載があるとおり、東京都品川区大井1丁目5000-1(地番)です。
場所が確認できたところで、次に路線価を確認します。
実は路線価計算はとても複雑ですが、細かく計算すると大変ですので、非常に簡便的な方法を採用し、複数の道路に面していた場合には、一番高い路線価を物件の路線価として採用することとします。
また、今回は個別評価エリアでありますが、周囲の最も高い路線価を採用するとして、シティタワー大井町の路線価を780,000円として検討していきます。

出典:国税庁 令和元年分財産評価基準
土地の原価の推計
路線価が確認できましたので、専有面積を乗じて土地の原価を推計してみましょう。
物件概要によれば、シティタワー大井町の専有面積は23.6m2~84.17m2ですので、土地の原価は18,408,000円~65,652,600円と計算できます。
ここで、路線価方式によって算定した土地市場価格は、売買取引時価(実際に売買するときに用いる価格)の80%程度と言われています。
つまり、路線価方式の土地価格を1.25倍した金額が土地の市場価格となります。
建物の原価の推計
次に建物の原価、つまりマンション建設のために要する工事費用を推計します。
物件概要によれば、シティタワー大井町の構造は、鉄筋コンクリート造です。
ここで、国土交通省が発表している構造別工事予定費の統計(平成30年)によると、東京都の鉄筋コンクリート造の建物は1㎡当たり324,214円の費用が発生します。
シティタワー大井町の専有面積は23.6m2~84.17m2ですので、工事費用の推計値は以下の金額と推計できます。
利益と経費の上乗せ金額の計算
土地と建物の原価が計算できましたので、実際の販売価格と比べてデベロッパーがどの程度利益を乗せているか、確認しておきましょう。
ここで注意すべき事項があります。
それは、販売価格と原価の差額すべてがデベロッパーの利益ではないということです。
マンションを販売するためには、営業の人件費やモデルルーム運営の設備費、広告宣伝費が必要です。

では、実際に比較してみましょう。
シティタワー大井町の土地の原価は23,010,000円~82,065,750円、工事費の推計値は7,651,450円~27,289,092円ですので、合計すると30,661,450円~109,354,842円となります。
そして、実際の販売価格は3624万6000円~1億3115万4000円です。
販売価格と原価の差額、つまり経費と利益の上乗せは、5,578,550円~21,799,158円であることが予想されます。
他のマンションとの比較
次に、路線価に市場相場が適切に反映されているという仮定のもと、シティタワー大井町の販売価格の設定が妥当なのか確認します。
下図は、2018年以降に売りに出された東京都の新築分譲マンション255棟について、坪単価の中央値を縦軸に、路線価を横軸にとって散布図を作成しております。
※坪単価の中央値は、販売価格の中央値÷専有面積の中央値×3.3として計算。

右肩上がりの赤いラインが平均線になります。
路線価に対して販売価格の平均的な水準を結んだ線ということです。
つまり、赤いラインより上側にあれば路線価の割に強気な販売価格が設定されている(割高)、下側にあれば路線価の割に弱気な販売価格が設定されている(割安)と判断できます。
ここで、シティタワー大井町の坪単価の中央値は513万円、路線価は780,000円で、オレンジの点がそれに該当します。
中古マンション市場相場との比較
シティタワー大井町の建設エリアの中古マンション市場相場と照らして、割高なのか割安なのか検証します。
以下の図は、2016年1月から2019年3月の間に大井町駅周辺(駅まで徒歩5分以内の立地)で取引された中古マンションの築年数と取引価格の関係を示しております。
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出典:不動産取引価格情報 国土交通省
【抽出条件】種類:中古マンション等、最寄り駅:大井町(駅まで徒歩5分以内の立地)、建物の構造:RC、取引年:2016年1月~2019年3月、購入後の利用目的:住宅
中央の赤いラインが近似線(平均的なライン)ですが、右肩下がりで描かれていることが分かると思います。
当然ではありますが、築年数が長ければ長いほど、取引価格は低下していくということを意味します。
そして、この近似線は一次関数の式で表すことができ、グラフの右上の式がそれに該当します。
y=-ax+bの式で表されておりますが、aに該当する値は1年間で下落する取引価格(坪単価)、bに該当する値はxが0の時の取引価格、つまり中古市場における新築時の取引価格と考えることができますので、シティタワー大井町の適正販売価格は387万円/坪ということになります。
将来的な売却を見据えると、この金額よりも高い金額で販売されていれば損するリスクが高く、低い金額で販売されていれば損するリスクが低いと考えることができます。
※2016年1月以降、大井町駅徒歩5分以内の中古マンションで坪単価450万円を超えて取引されたマンションは存在しないことからも、強気な販売価格が設定されていると考えられる。
まとめ
さいごに、これまでの結果を振りかえってみましょう。
- 積上方式:利益と経費の上乗せは5,578,550円~21,799,158円
- 他のマンションとの比較:他のマンションに比べると路線価の割に強気な販売価格が設定されている。
- 中古マンション市場相場との比較:シティタワー大井町の坪単価の中央値は513万円、中古マンション市場における新築時適正価格は387万円/坪。したがって、中古マンション市場相場と比較すると割高と考えることができる
以上から、割高感は否めない販売価格が設定されていると予想されますので、購入を検討しているのであれば慎重な検討をお勧めします。
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