シティハウス自由が丘レジデンスというマンションがお買い得なのかどうか、路線価をベンチマークにして検討してみました。
東京都世田谷区等々力7丁目2-1他(地番)に建設予定のマンションです。
マンション概要
- 名称
- シティハウス自由が丘レジデンス
- 所在地
- 東京都世田谷区等々力7丁目2-1他(地番)
- 交通
- 東急東横線・東急大井町線「自由が丘」駅からバス約6分「等々力七丁目」バス停下車徒歩1分
- 総戸数
- 87戸
- 構造・階数
- 外観上/RC8階建(建築基準法上/地上7階地下1階建)
- 間取り
- 3LDK~4LDK
- 専有面積
- 69.5m2~81.89m2
- 価格
- 7590万円~9290万円
- 管理費
- 1万3177円~1万5347円/月
- 管理準備金
- 1万3177円~1万5347円(一括払い)
- 修繕積立金
- 7560円~8910円/月
- 駐車場
- 敷地内41台(料金2万4000円~2万9000円/月)
- 駐輪場
- 109台収容(料金200円~1500円/月)
- バイク置場
- 4台収容(料金6000円/月)
- 用途地域
- 第一種住居地域
- 完成時期
- 2018年11月29日完成済
- 入居時期
- 2019年7月下旬予定
※2019年2月時点の情報を掲載しております
※出典:公式ホームページ、SUUMO
物件価格の妥当性検証
物件概要より、シティハウス自由が丘レジデンスの販売価格は、69.5m2~81.89m2の面積に対して、7590万円~9290万円です。
この値段が高いのか、それとも安いのか?
土地の価格と工事費用を推計して、販売価格の妥当性を検証していきます。
路線価の確認
まずは、路線価に専有面積を乗じて土地価格の推計値を算定します。
そのためには、まず路線価を確認する必要がありますので、物件の所在地を確認します。
シティハウス自由が丘レジデンスの住所は東京都世田谷区等々力7丁目2-1他(地番)です。
場所が確認できたところで、次に路線価を確認します。
実は路線価計算はとても複雑ですが、細かく計算すると大変ですので、非常に簡便的な方法を採用し、複数の道路に面していた場合には、一番高い路線価を物件の路線価として採用することとします。
上記前提で考えると、シティハウス自由が丘レジデンスの路線価は530,000円ということになります。

出典:国税庁 平成30年分財産評価基準
土地の市場価格推計
路線価が確認できましたので、専有面積を乗じて土地の市場価格を推計してみましょう。
物件概要によれば、シティハウス自由が丘レジデンスの専有面積は69.5m2~81.89m2ですので、路線価方式の土地価格は、36,835,000円~43,401,700円と算定できます。
ここで、路線価方式によって算定した土地市場価格は、売買取引時価(実際に売買するときに用いる価格)の80%程度と言われています。
つまり、路線価方式の土地価格を1.25倍した金額が土地の市場価格となります。
【土地の市場価格推計値】
46,043,750円~54,252,125円
工事費用推計
次にマンションを建設するために要した工事費用推計値を算定します。
物件概要によれば、シティハウス自由が丘レジデンスの構造は、鉄筋コンクリート造です。
ここで、国土交通省が発表している構造別工事予定費の統計(平成30年)によると、東京都の鉄筋コンクリート造の建物は1㎡当たり324,214円の費用が発生します。
シティハウス自由が丘レジデンスの専有面積は69.5m2~81.89m2ですので、工事費用の推計値は以下の金額と推計できます。
【工事費用の推計値】
22,532,873円~26,549,884円
割高割安判定
土地の市場価格と工事費用の推計値が算定できましたので、実際の販売価格と比べてみます。
この2つを比べると、どの程度デベロッパーが利益を乗せているか、おおよその金額が確認することができます。
ここで注意すべき事項があります。
それは、推計値と実績値の差額がすべてデベロッパーの利益ではないということです。
マンションを販売するためには、営業の人件費やモデルルーム運営の設備費、広告宣伝費が必要です。
つまり、推計値よりも販売価格の方が高いことは、ある程度仕方ないということです。

では、実際に比較してみましょう。
シティハウス自由が丘レジデンスの土地の推計値は46,043,750円~54,252,125円、工事費の推計値は22,532,873円~26,549,884円ですので、合計で68,576,623円~80,802,009円となります。
そして、実際の販売価格は7590万円~9290万円です。
差額、つまり経費と利益の上乗せは、7,323,377円~12,097,991円であることが予想されます。
他のマンションとの比較
積み上げ方式による検討を行ってきましたが、他のマンションと比べたときの相対的な販売価格の高低についても確認しましょう。
下図は、2018年以降に売りに出された東京都の新築分譲マンション255棟について、坪単価の中央値を縦軸に、路線価を横軸にとって散布図を作成しております。
※坪単価の中央値は、販売価格の中央値÷専有面積の中央値×3.3として計算。

右肩上がりの赤いラインが平均線になります。
路線価に対して販売価格の平均的な水準を結んだ線ということです。
つまり、赤いラインより上側にあれば割高、下側にあれば割安であると判断できます。
ここで、シティハウス自由が丘レジデンスの坪単価の中央値は368万円、路線価は530,000円で、オレンジの点がそれに該当します。
オレンジの点は上側にありますので、シティハウス自由が丘レジデンスは他のマンションに比べると割高で販売されていることが予想されます。
中古マンション市場との比較
次に、マンション建設エリアの中古マンション市場と照らして、割高なのか割安なのか検証します。
以下の図は、2016年1月から2019年3月の間に世田谷区等々力(最寄り駅まで徒歩10分以上の立地)で取引された中古マンションの築年数と取引価格の関係を示しております。
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出典:不動産取引価格情報 国土交通省
【抽出条件】種類:中古マンション等、市区町村:世田谷区等々力(最寄り駅まで徒歩10分以上の立地)、建物の構造:RC、取引年:2016年1月~2019年3月、購入後の利用目的:住宅
中央の赤いラインが近似線(平均的なライン)ですが、右肩下がりで描かれていることが分かると思います。
当然ではありますが、築年数が長ければ長いほど、取引価格は低下していくということを意味します。
そして、この近似線は一次関数の式で表すことができ、グラフの右上の式がそれに該当します。
y=-ax+bの式で表されておりますが、aに該当する値は1年間で下落する取引価格(坪単価)、bに該当する値はxが0の時の取引価格、つまり中古市場における新築時の取引価格と考えることができます。
シティハウス自由が丘レジデンスの坪単価の中央値は368万円であることを考えると、シティハウス自由が丘レジデンスは中古マンション市場相場と照らして割高で販売されていると考えることができます。
まとめ
さいごに、これまでの結果を振りかえってみましょう。
- 積上方式:利益と経費の上乗せは7,323,377円~12,097,991円
- 他のマンションとの比較:他のマンションに比べると割高
- 中古マンション市場との比較:中古マンション市場における新築時取引価格を推計すると334万円/坪なので、中古マンション市場相場と比較すると割高と考えることができる
以上から、割高感の感じられる販売価格が設定されていると予想されますので、購入を検討しているのであれば慎重な検討をお勧めします。
- マンションの適正価格がわかる(新築マンション4000棟弱・中古マンション201万戸超を開示)
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