ブランズ二子玉川テラスの8170~12080万円は割高?割安?




ブランズ二子玉川テラスというマンションがお買い得なのかどうか、路線価をベンチマークにして検討してみました。
東京都世田谷区玉川2-1496-2(地番)に建設予定のマンションです。

マンション概要

名称
ブランズ二子玉川テラス
所在地
東京都世田谷区玉川2-1496-2(地番)
交通
東急田園都市線・東急大井町線「二子玉川」駅(西口出口)より徒歩6分
総戸数
79戸
構造・階数
RC5階地下1階建
間取り
2LDK・3LDK
専有面積
60.95m2~81.81m2
価格
8170万円~1億2080万円
管理費
2万4300円~3万2600円/月
管理準備金
2万4300円~3万2600円(一括払い)
修繕積立金
1万1000円~1万4700円/月
駐車場
敷地内39台(料金3万7000円~3万9000円/月、機械式)
駐輪場
162台収容(料金300円~900円/月)(機械式156台、平置3台、レンタサイクル3台)
バイク置場
3台収容(料金5000円/月)(平置)
用途地域
準住居地域、第一種中高層住居専用地域
完成時期
2019年1月下旬予定
入居時期
2019年3月下旬予定

※2019年2月時点の情報を掲載しております
※出典:公式ホームページ、SUUMO

物件価格の妥当性検証

物件概要より、ブランズ二子玉川テラスの販売価格は、60.95m2~81.81m2の面積に対して、8170万円~1億2080万円です。
この値段が高いのか、それとも安いのか?
土地の価格と工事費用を推計して、販売価格の妥当性を検証していきます。

路線価の確認

まずは、路線価に専有面積を乗じて土地価格の推計値を算定します。
そのためには、まず路線価を確認する必要がありますので、物件の所在地を確認します。
ブランズ二子玉川テラスの住所は東京都世田谷区玉川2-1496-2(地番)です。

場所が確認できたところで、次に路線価を確認します。
実は路線価計算はとても複雑ですが、細かく計算すると大変ですので、非常に簡便的な方法を採用し、複数の道路に面していた場合には、一番高い路線価を物件の路線価として採用することとします。
上記前提で考えると、ブランズ二子玉川テラスの路線価は630,000円ということになります。

出典:国税庁 平成30年分財産評価基準

土地の市場価格推計

路線価が確認できましたので、専有面積を乗じて土地の市場価格を推計してみましょう。
物件概要によれば、ブランズ二子玉川テラスの専有面積は60.95m2~81.81m2ですので、路線価方式の土地価格は、38,398,500円~51,540,300円と算定できます。

ここで、路線価方式によって算定した土地市場価格は、売買取引時価(実際に売買するときに用いる価格)の80%程度と言われています。
つまり、路線価方式の土地価格を1.25倍した金額が土地の市場価格となります。

【土地の市場価格推計値】
47,998,125円~64,425,375円

工事費用推計

次にマンションを建設するために要した工事費用推計値を算定します。

物件概要によれば、ブランズ二子玉川テラスの構造は、鉄筋コンクリート造です。
ここで、国土交通省が発表している構造別工事予定費の統計(平成30年)によると、東京都の鉄筋コンクリート造の建物は1㎡当たり324,214円の費用が発生します。
ブランズ二子玉川テラスの専有面積は60.95m2~81.81m2ですので、工事費用の推計値は以下の金額と推計できます。

【工事費用の推計値】
19,760,843円~26,523,947円

割高割安判定

土地の市場価格と工事費用の推計値が算定できましたので、実際の販売価格と比べてみます。
この2つを比べると、どの程度デベロッパーが利益を乗せているか、おおよその金額が確認することができます。

ここで注意すべき事項があります。
それは、推計値と実績値の差額がすべてデベロッパーの利益ではないということです。
マンションを販売するためには、営業の人件費やモデルルーム運営の設備費、広告宣伝費が必要です。
つまり、推計値よりも販売価格の方が高いことは、ある程度仕方ないということです。

では、実際に比較してみましょう。
ブランズ二子玉川テラスの土地の推計値は47,998,125円~64,425,375円、工事費の推計値は19,760,843円~26,523,947円ですので、合計で67,758,968円~90,949,322円となります。
そして、実際の販売価格は8170万円~1億2080万円です。
差額、つまり経費と利益の上乗せは、13,941,032円~29,850,678円であることが予想されます。

他のマンションとの比較

積み上げ方式による検討を行ってきましたが、他のマンションと比べたときの相対的な販売価格の高低についても確認しましょう。

下図は、2018年以降に売りに出された東京都の新築分譲マンション255棟について、坪単価の中央値を縦軸に、路線価を横軸にとって散布図を作成しております。
※坪単価の中央値は、販売価格の中央値÷専有面積の中央値×3.3として計算。

右肩上がりの赤いラインが平均線になります。
路線価に対して販売価格の平均的な水準を結んだ線ということです。
つまり、赤いラインより上側にあれば割高、下側にあれば割安であると判断できます。

ここで、ブランズ二子玉川テラスの坪単価の中央値は468万円、路線価は630,000円で、オレンジの点がそれに該当します。
オレンジの点は上側にありますので、ブランズ二子玉川テラスは他のマンションに比べると割高で販売されていることが予想されます。

中古マンション市場との比較

次に、マンション建設エリアの中古マンション市場と照らして、割高なのか割安なのか検証します。
以下の図は、2016年1月から2019年3月の間に二子玉川駅周辺(徒歩10分以内の立地)で取引された中古マンションの築年数と取引価格の関係を示しております。

出典:不動産取引価格情報 国土交通省
【抽出条件】種類:中古マンション等、最寄り駅:二子玉川駅(徒歩10分以内の立地)、建物の構造:RC、取引年:2016年1月~2019年3月、購入後の利用目的:住宅

中央の赤いラインが近似線(平均的なライン)ですが、右肩下がりで描かれていることが分かると思います。
当然ではありますが、築年数が長ければ長いほど、取引価格は低下していくということを意味します。
そして、この近似線は一次関数の式で表すことができ、グラフの右上の式がそれに該当します。
y=-ax+bの式で表されておりますが、aに該当する値は1年間で下落する取引価格(坪単価)、bに該当する値はxが0の時の取引価格、つまり中古市場における新築時の取引価格と考えることができます。
ブランズ二子玉川テラスの坪単価の中央値は468万円であることを考えると、ブランズ二子玉川テラスは中古マンション市場相場と照らして適正な水準で販売されていると考えることができます。

まとめ

さいごに、これまでの結果を振りかえってみましょう。

  • 積上方式:利益と経費の上乗せは13,941,032円~29,850,678円
  • 他のマンションとの比較:他のマンションに比べると割高
  • 中古マンション市場との比較:中古マンション市場における新築時取引価格を推計すると471万円/坪なので、中古マンション市場相場と比較すると適正な水準で販売価格が設定されていると考えることができる

以上から、路線価の割には他のマンションよりも強気で販売価格が設定されておりますが、中古マンション市場相場と比較すれば割高感は感じられないので、購入を検討しているのであれば前向きに考えてみてもよいのかもしれません。

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